本記事は、筆者が2024年7月に受けた『Microsoft Power BI Data Analyst』(通称:PL-300)の受験体験に基づく、解説記事です。
「これから受験を考えているけど、勉強方法のイメージがつかない・・・」「難易度や勉強期間が知りたい・・・」「そもそも、この資格意味あるの?」といった方へ、試験の難易度・特徴や試験対策の方法・勉強期間・受験時に意識したことなどを詳しく解説したいと思います。
PL-300の試験概要
『Microsoft Power BI Data Analyst』とは、Microsoft社が提供する『Power Platform』という製品群の中でも『Power BI』に特化した基礎スキルを証明するための認定資格です。
『Power Platform』のスキルを証明する試験として、他にも『PL-400: Microsoft Power Platform Developer – Certifications』や『PL-200: Microsoft Power Platform 業務コンサルタント – Certifications』などがあります。
『PL-300:Microsoft Power BI Data Analyst受験記』は、名称のとおり、『Power BI』に関する知識を証明する位置づけの資格となります。
『Power BI』とは、Microsoft社が提供するBIツールです。
クラウド上で作成したレポートの共有ができたり、オンプレやクラウドのデータベースからデータ連携ができたり、複数データソースからのレポート作成やデータソースの定期更新まで対応している便利なサービスです。
社内業務や個人で活用が期待できるツールのため、これから『Power BI』を勉強したい方、データ分析スキルを習得し、社内・個人で利用を促進していきたいと考えている方におすすめの試験になります!
試験の基本的な内容は、以下のとおりです。最新の情報は、公式HPから確認しましょう。
試験名 | PL-300 – Microsoft Power BI Data Analyst – 日本語 (JPN) |
試験時間 | 120分 |
合格基準 | 700点/1,000点 |
受験料 | 21,102円(税抜) |
試験スコアを公開
Power Platformの知識は「PL-900」「PL-200」を取得済み、Power BIの知識はゼロの状態でしたが、無事一発合格でした。
試験の手ごたえとしては、まあ合格かな?くらいで、スコアも余裕で合格ラインを越えていました。
試験後、すぐにスコアレポートが開示されるので、結果が分かりますが、具体的に自分がどこで間違っていたか?などは開示されないので、再受験には優しくないシステムだと思います。
私のスコアは、865点でした。合格基準は、700点なので少し余裕をもって合格できました。(なぜか、スコアレポートを電子媒体で発行できないです。改善求ム…)
試験の難易度・特徴について
資格試験の難易度は、5段階で2.5くらいの印象でした。(これまで私が受けてきた試験と比較すると、PL-900よりやや難しい、PL-200よりやや易しいくらいの感覚でした。)
ピアソンVUEで予約しての受験なので、自分で受験したい日を見つけて気軽に受けることができます。(受験料は高いので、準備はしっかりとしたほうがいいですね。)
試験時間は、120分でしたが、60分ほどで問題を解き終えたので、余裕がありました。
試験中に、問題を1周解く+2周目の見直しをすることができました。(一部、先に進むと戻れない問題があるので注意!)
試験に出題される問題についても、公式のラーニングコンテンツや、以降で紹介するサイトの問題に近く、対策できる内容でした。
どのくらいの勉強時間を要したか?勉強は何をした?
合格までの勉強期間は、約2か月です。
仕事をしながらなので、平日は0.5~1H、休日4~6Hくらいの目安で勉強しています。
私が実施した対策と所要期間は以下のとおりです。
ラーニング パス(1周) | 14日間 |
Udemy|Power BIハンズオン講座(1周) | 7日間 |
Power BIでレポートをつくってみる | 7日間 |
EXAMTOPICS演習(2周) | 14日間 |
無料の練習用評価(8周) | 14日間 |
試験対策は、『概要理解』>『レポート作成実践』>『練習問題&復習』といった感じで進めました。
試験対策項目はシンプルですが、ゼロから知識をキャッチアップする方には、高いモチベーションと学習効率を維持するために、対策項目の実施する順番を意識することをおすすめします。
私自身、資格取得の先に、Power BIを活用できるようになりたい!という想いがあったので、
概要理解と練習問題の間に、レポートを実際につくってみる時間を取りました。
結果的に、Power BIへの理解が深まったと考えています。
それぞれの対策項目のスケジュール感は、以下のとおりです。
勉強方法について解説!
学習のゴールは、以下の状態になっていることです。
- EXAMTOPICSの演習問題を2周以上
- 無料の練習用評価の正解率が90%以上
- PowerBIでレポート作成>ダッシュボード作成>共有までできる
上記のゴールに持っていくために、以下の対策項目を実施しましょう。
ラーニング パス(1周)
Mircosoftで提供されているWebサイト型の学習コンテンツです。
PL-300の試験範囲を網羅的に学習することができますが、すべて書面での長文解説かつ、英語を直訳したような文章なので、知識ゼロから読み進めようとすると、解読と理解に多大な労力を要してしまい、学習モチベーション低下につながりかねないです。(もし、モチベーションが下がる場合は、次に紹介するUdemy動画学習から始めてください。)
生成AIに要約してもらいながら、サイトを読み進める学習方法の効率がよかったです。
私はGemini Proを使いましたが、ChatGPTやCopilotなどでも代用できます。
学習方法は、シンプルです。
生成AIに以下のプロンプト文を指示し、出力された要約文から読み始めます。
生成された要約を読んだ後に、オリジナルのラーニングサイトの内容を一読します。
PowerBIに関する技術的な記事を以降のチャットに入力します。
あなたは、日本語で分かりやすく構造的に解説してください。
#記事
{ここにラーニングサイトの文章を全部コピペする。}
ラーニングサイトの内容が構造的に要約されるため、読みやすく、効率よく理解できます。
生成AIの回答なので、自分の目で最終確認が必要です。オリジナルのラーニングサイトを一読しておきましょう。結果的に同じ記事を2回読むため、知識の定着も期待できます。
Udemy|Power BIハンズオン講座(1周)
次は、実際にPowerBIをつかってレポートやダッシュボードを作成します。
問題の傾向として、実際のPower BI画面の遷移や、主要なビジュアル、DAXについてなど、実務よりの出題が多かった印象があります。
まずは、Power BIを自PCにインストールしてレポートやダッシュボードを作成してみてください。
私は、以下URLのUdemy動画を1周しました。
Power PlatformやPower BIの環境設定から丁寧に説明されており、初心者の私でもすぐに習得できましたので、おすすめです。
Udemyは定期的にセールをしているのでタイミングが合えば、セール時に購入がお得です。
もともと知識のある方であれば、Udemy動画なしでPower BIの技術記事を調べながら、レポートを作成することができると思います。
Power BIでレポートをつくってみる
実際にPower BIをつかって、Power BIレポートをつくってみましょう。
実務で活かすためには、とにかく何でもいいので、テーマを決めてからレポートをつくってみることが近道です。
私は、プライベートで使うための『資産管理レポート』を作成しました。
レポートを作る中で、DAX式を組んだり、データソースの更新を設定したり、ロール管理を試してみたりと、学んできた機能を実際に試してみてください。
私は、作成したレポートをPower BIサービスに発行し、SharePointサイトに埋め込んだり、1日8回定期更新するように設定したりと、実際にレポートを運用するならどうするか?といった視点で機能を試しました。
EXAMTOPICS演習(2周)
ある程度、Power BIについて理解できたら、演習問題に進みます。
まず、以下URLの演習サイトを1周しましょう。
試験前にもう1周して、間違った問題をすべて潰しておきましょう。
ページを開くと、問題文が英語になっているので、[右クリック]>[日本語に翻訳]をしてから問題を解きましょう。実際に試験を受けてみて、このサイトの演習対策が一番役立ちました。
途中で課金などの案内がされますが、無課金でも60問くらい解くことができます。
私は、無課金の範囲だけ対策しました。(ページを遷移するたびに、ロボットチェックをされるので、すこし面倒でしたが…)
解説が不十分だったり、理解不能な文章の問題があるため、先に同じく生成AIを活用しましょう。
私は、問題文と解説を1問ずつコピペして、以下のプロンプト文を命令しました。
あなたはPowerBIのコンサルタントです。
今からPowerBIに関する問題と解答を送信するので、日本語で問題の解説をしてください。
また、次回似たような問題を解けるように、覚えるべきことをまとめてください。
出力の構成は、以下のとおりとします。
・問題
問題文を日本語に要約する(直訳でわかりづらい用語はわかりやすく補足する)
・解答
解答を日本語に要約する
・解説
解答の解説をする。(インプットする解答が間違っている可能性があります、間違っていると疑われる解答については、正しい解答と解説を追記してください。)
・間違った選択肢の解説
正解以外の選択肢がなぜ間違っているのか?解説をつける。
・類似問題への対策
類似する問題や次回この問題を解けるように覚えるべきことをまとめる。
上記のプロンプトで会話を開始し、あとは「問題文」「解答/解説」をセットで1問ずつコピペして、生成AIから返ってきた解説を読み進めました。
中には、画像でコピペができない問題文や解答があるので、その箇所はキーボードで文字起こししてから、生成AIに命令しました。
(解答のインプットが抜けると、でたらめな解説が返ってくるので注意。)
無料の練習用評価(8周)
基礎知識が固まったら、模擬問題を何度も解き、間違った問題の復習を繰り返します。
模擬問題は、問題数の多さと解説の充実度から、Microsoftの公式サイトの『無料の練習用評価』がおすすめです。
練習問題は、1セット50問用意されています。すべての問題を解き終えると、自分の回答の正誤と解説ページを表示できるので、間違った問題を中心に解説を読み込みましょう。
練習問題の出題内容は、毎回ランダムなので、同じ問題が毎回出題されることはありません。
最初は正答率がかなり低く、落ち込むと思いますが、何周も解いて、間違った箇所を理解していくことで、正解率をあげましょう。
ポイントは、間違った問題も間違っていない問題も解説を読むことです。正解しても、なんとなく理解しているケースがあるので、完全に理解することをゴールにして進めましょう。
参考までに私の正解率の推移は以下のとおりです。
(試験前は、96~98%の状態まで正解率を上げました。)
1周目(2024/7/14) | 62% |
2周目(2024/7/15) | 80% |
3周目(2024/7/19) | 82% |
4周目(2024/7/23) | 94% |
5周目(2024/7/25) | 96% |
6周目(2024/7/27) | 84% |
7周目(2024/7/28) | 98% |
8周目(2024/7/30) | 96% |
資格を取得するメリット
最後に、資格を取得して感じたメリットを紹介します。
是非、高いモチベーションを維持しながら、挑戦しましょう!
Power BIのスキル証明になる
Microsoftの認定資格になるので、他のベンダー資格と比べても、圧倒的な信頼があります。
Microsoftを知らない企業は、ほとんどないですし、近年のDX化のながれでPower Platformのサービスを導入する企業も増えています。
PL-300を取得したことで、Microsoft製品とデータ分析業務に精通していることが客観的に示せるのは、大きなアピールポイントになります。
仕事・プライベート問わず役に立つ
Power BIは、データ分析ツールです。
仕事とプライベートの両面で役立つ『データ分析スキル』が手に入ります。
営業部なら、売上や顧客分析、情報システム部ならシステム稼働状況の分析、人事部ならHPのアクセス数分析など、データ分析スキルは、どの職種にも活かすことができます。
データ分析のフィードバックをもとに、本業のパフォーマンスや生産性の向上が期待できます。
また、Power BIはライセンス費用を払わずに、個人利用が可能です。
プライベートの面でも、家計分析やブログの収益分析などに活用ができます。
仕事とプライベートの両面から、Power BIとデータ分析スキルへの投資に見合ったリターンが期待できます。(これからの時代は、データ分析は必須スキルとなってくるでしょう。)
ここまで、読んでいただきありがとうございました!
皆さんの合格を心よりお祈りしています。
また、当ブログでは、別資格の受験記も掲載してます。
興味のある資格記事がありましたら、ご一読いただけると幸いです!
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