本記事は、筆者が2024年1月に受けた『Cisco Certified Network Associate』(通称:CCNA)の受験体験に基づく、解説記事です。
「これから受験を考えているけど、勉強方法のイメージがつかない・・・」「難易度や勉強期間が知りたい・・・」「そもそも、この資格意味あるの?」といった方へ、試験の難易度・特徴や試験対策の方法・勉強期間・受験時に意識したことなどを詳しく解説したいと思います。
CCNAの概要
『Cisco Certified Network Associate』(通称:CCNA)は、Ciscoが提供するネットワーク技術者認定資格のアソシエイトレベル(2番目に易しいレベル)に位置づけられます。
上位資格としては、スペシャリストレベル (CCNP)、エキスパートレベル (CCIE) などが存在し、より専門性の高い知識やスキルが求められます。CCNAは、これらの上位資格を目指すための基盤となる重要な資格です。
CCNAは、以下のような方を対象としています。
- ネットワークエンジニアを目指す方、またはキャリアをスタートしたばかりの方
- ネットワーク技術の基礎知識を習得し、実務に活かしたい方
- Cisco製品を用いたネットワーク構築・運用に携わる方
- 上位資格であるCCNP、CCIEの取得を目指す方
試験の基本的な内容は、以下の通りです。最新の情報は、公式HPから確認しましょう。
試験名 | 200-301 CCNA |
試験時間 | 120分 |
合格基準 | 非公開 |
受験料 | 42,900円(税込) |
試験スコアを公開
私自身、ネットワーク分野に苦手意識を感じており、ネットワーク構築系の実務経験もゼロでしたが、
約3か月勉強し、無事一発合格できました。
試験の手ごたえは、良くも悪くもないが合格はできるかな?くらいの感じでした。
累計スコアは表示されませんが、各カテゴリでスコアが表示されます。
合格基準が非公開のため、65%以上で必ず合格するとは断定できませんが、
大体このくらいのスコアで合格できるんだと参考になれば幸いです。
試験後、すぐにスコアレポートが開示されるので、結果が分かりますが、具体的に自分がどこで間違っていたか?などは開示されないので、再受験には優しくないシステムだと思います。
試験の難易度・特徴について
資格試験の難易度は、5段階で3くらいの印象でした。(これまで私が受けてきた資格試験と比較すると、基本情報処理技術者試験くらいの難易度でしょうか。)
ピアソンVUE経由の受験なので、自分で受験したい日を見つけて気軽に受けることができます。(受験料が高いので、気軽ではないですね。)
試験時間は、120分でしたが、時間ギリギリまで使いました。
(見直しをする余裕はなかったです。)
ネットワーク機器をシミュレータ上で設定するケース問題(通称:コマ問)が出題されますが、この問題にかなりの時間(40分くらい?)を要したのでギリギリになりました。
試験に出題される問題は、選択問題がほとんどで、対策も問題なくできる内容です。
ただ、試験範囲が膨大なので、基礎理解が不十分だと選択問題を落とすことになります。
また、コマ問は避けて通れないため、選択問題だけの対策では合格は難しいと思われます。
選択問題は広く範囲を網羅し、コマ問の対策もバランスよく進める必要があり、総合力を問われる試験だと感じました。
どのくらいの勉強時間を要したか?勉強は何をした?
合格までの勉強期間は、約3か月です。
仕事をしながらなので、平日は0.5~1H、休日4~6Hくらいの目安で勉強してます。
私は、基本情報処理技術者レベルの前提知識がある状態から3か月かかったので、全くの知識ゼロから学習する場合は、+2か月を見込んでおきましょう。
私が実施した対策と所要期間は以下のとおりです。
Udemy|CCNA対策動画(1周) | 20日間 |
Ping-t|無課金でできる問題まで(1周) | 7日間 |
Ping-t|1か月課金し、限界まで問題とく | 30日間 |
Udemy|パケットトレーサの演習(1周) | 7日間 |
Ping-t|コマンド問題対策(無課金) | 7日間 |
試験対策は、『概要理解』>『選択問題の演習』>『コマ問の演習』といった感じで進めました。
使った教材はシンプルで「Udemyの対策動画」と「Ping-t(練習問題を公開しているWEBサイト)」のみです。
参考書も購入しましたが、Udemyと内容が被っており、あまり利用しませんでした。
私は、Udemyの対策動画を利用して、全体概要を掴んでから、Ping-tの練習問題に挑みました。
選択問題の範囲がとても広いため、まずは選択問題を網羅的に対策しました。
コマ問は最後の1,2週間で詰め込みましたが、十分でした。
学習の優先度は、選択問題>コマ問です。
それぞれの対策項目のスケジュール感は、以下のとおりです。
勉強方法について解説!
学習のゴールは、以下の状態になっていることです。
- Ping-t 模擬試験(ピックアップ問題の全範囲)を安定して正答率85%以上
- Ping-t コマ問の正答率を90%以上
- Udemy講座のパケットトレーサ演習を1周以上
上記のゴールに持っていくために、以下の対策項目を実施しましょう。
Udemy|CCNA対策動画(1周)
まずは、ネットワークに関するベース知識を固めていきます。
私は、以下URLのUdemy講座を1周受講しました。
Ping-tの演習問題は、ある程度ネットワーク知識がないと、解答や解説すら理解できないです。
そのため、ベースとなるネットワーク知識をまず習得しましょう。
私は、電車通勤の時間を有効活用したかったため、Udemyでの動画視聴形式をとりましたが、
CCNA関連の書籍を1周読むでも問題ないです。
参考までに、私が購入した書籍は以下です。Udemyとどちらか一方を準備で問題ないです。
ここでのポイントは、知識の概要をざっくり理解することです。
細かい暗記項目は、まだ覚えなくて大丈夫です。(以降のPing-t 演習を進める中で定着します)
ただ、暗記項目が非常に多く、後からまとめるのが面倒なので、Excelに表形式で暗記項目をまとめておくと、試験前にリストを眺めて復習できて便利です。(以下参考)
Ping-t|無課金でできる問題まで(1周)
ネットワークの基礎知識を習得後は、Ping-tの演習問題を解き、分からない内容をUdemyの動画や参考書で復習する方法をとります。
CCNAの試験対策に便利なWEB問題集サイトです。
豊富な問題数と丁寧な解説、模擬試験やコマンド問題など、効果的な学習をサポートする機能が充実しています。演習問題の内容も実際の試験問題に近いため、対策必須です。
具体的には、Ping-tの「最強WEB問題集」に取り組みます。
Ping-tは、無課金だと問題の出題範囲に制限があります。(例えば、ルーティングやWANなどの分野は課金しないと出題されない)
CCNAを受験するうえで、Ping-tへの課金は必要不可欠だと考えています。
しかし、Ping-tの利用期間に応じて課金が発生するため、まずは無課金で利用できる範囲をすべて網羅してから課金することをおすすめします。
(参考:2,640円/30日、3,300円/60日、3,960円/90日 ※2024/8/13時点)
Ping-t|1か月課金し、限界まで問題とく
Ping-tの無料範囲を1周できたら、1か月課金し、有料範囲を進めます。
Ping-tの有料範囲は、問題数が膨大にあり、1か月で全問解くのは難しいです。
また、あまり出題されないような問題も含まれているため、学習効率も良くないです。
そのため、出題対象の「ピックアップ問題」にチェックをして、絞り込まれた問題を解くことをおすすめします。
「ピックアップ問題」とは、CCNAの頻出問題を指します。
「ピックアップ問題」に絞り込んだとしても、問題量は多いので、根気強く演習&復習を繰り返しましょう。問題を連続で正解するとコンボという値が増え、学習レベルが上がります。
参考までに、私はレベル13まで上げて試験に挑戦しました。
(個人差があるので、レベルはあまり気にしなくていいかもしれないですが…)
慣れてきたら、「模擬試験」で力試しをしましょう。
「模擬試験」も「ピックアップ問題」のみに絞り込むことが可能です。
目安として、ピックアップ問題を対象に、正答率85%以上を安定して出せるようにしましょう。
参考までに、私の「模擬試験」成績を晒しておきます。
(試験直前は、ミスした問題だけ絞り込んで復習するのもアリです。)
Udemy|パケットトレーサの演習(1周)
ここからは、コマンド問題の対策です。(通称:コマ問)
コマンド問題とは、Cisco製品の設定をコンピュータ上のシミュレータで再現するテストです。
ネットワーク機器の特性や、コマンド画面上の設定を理解していないと解くことができません。
ネットワーク機器の実務経験がある方は、そこまで苦戦しないですが、
私はネットワーク機器の実務経験がないため、実機を買ってきて組み立てる…わけにもいかず、
対策が難しかったです。
そこで、「Cisco Packet Tracer」という無料ソフトをつかって対策をしました。
Cisco Packet Tracerは、Cisco Systemsが開発・提供している、ネットワークシミュレーションソフトウェアです。主にネットワーク技術の学習や教育の現場で広く活用されています。
Cisco社が提供しているため、実際のCCNA試験のコマ問と似たシミュレーションツールで対策ができたので、非常によかったです。
具体的には、「Cisco Packet Tracer」をつかって、VLAN構成を組んだり、OSPFの設定をしたり…いろいろ遊んでみましょう!といっても困りますよね…
私は、先に紹介したUdemy講座で取り扱っている演習を1周確認しました。(Udemy講座では、Packet tracerの使い方から丁寧に解説されているので、ご安心ください。)
ポイントは、「設定ステップと順番」「設定に必要なコマンド」「設定が正しくされているか確認する方法」をセットで理解することです。実際に試験では、シミュレータで設定を進めますが、正しく設定されたか確認する方法を知っておくと、設定漏れ・ミスを検知して冷静に対応できます。
もし、Udemy講座の購入が厳しい方は、Youtube等で情報収集しながら、
以下のお題に挑戦してみてください!
- インターフェースの設定と確認(IPアドレス、サブネットマスク、説明などを設定)
- ルーティングテーブルの確認
- VLANの設定と確認
- CDPとLLDP(有効化/無効化の設定、隣接デバイスの情報確認)
- OSPFの設定と確認(プロセス有効化、ルータID/プロセスID設定)
- ACLの設定と確認(標準ACLと拡張ACLを設定する)
- NATの設定と確認(スタティックNATとダイナミックNATの設定をする)
- その他(疎通確認、コマンド省略、コマンドオプション表示などの機能を試す)
Ping-t|コマンド問題対策(無課金)
本項目も、コマンド問題の対策です。
Ping-tの無料範囲でコマ問対策ができます。問題数は多くないですが、必要なコマンドを網羅しているので、学習をおすすめします。
キーボード入力しながら問題を解く形式なので、試験と近いコマンド問題の対策ができます。
頭の中でコマンドを理解しても、実際にキーボードでタイピングすると意外と解けないです。
試験時にパニックを回避するために、最低2周しておくことをおすすめします。
資格を取得するメリット
最後に、資格を取得して感じたメリットを紹介します。
是非、高いモチベーションを維持して試験に取り組みましょう!
ネットワーク知識は一生もの
私自身、SIerでシステムエンジニアをしてますが、ネットワーク機器に触れたり、ネットワークの設計に携わることはありませんでした。しかし、ネットワーク知識があることで、非機能要件の設計やトラブル原因の切り分けなどを以前より自信をもってできるようになったと実感してます。
また、プライベートでも、カフェの無料Wi-Fiのセキュリティ規格は大丈夫かな?といった観点で調べてみたり、家のLAN環境をもっと高速にしたい…などの場面に直面した際に、ホームルータを性能面で比較できるようになり、役に立った実感があります。
実際、ネットワーク知識がある人は頼りになりますよね?(ないよりはあるほうがいいですよね?)
特にIT業界への転職を考えている方、ITインフラ関係ではないけどIT系の職種に就いている方には、役に立つ場面が多いと思うので、おすすめします。
他の資格勉強にも活かせる
CCNAの知識が、他のIT系資格にも活かせる場面があります。
私は、CCNAを取得してから現在「情報処理安全確保支援士」試験に挑戦してますが、CCNAで得たネットワーク知識は、高度なIT資格へも活かせることを実感してます。
また、基本情報処理技術者や応用情報処理技術者試験を受験した経験もありますが、CCNAの知識は間違いなくアドバンテージになります。
上記のような資格を今後取得していきたい方にも、CCNAの受験をおすすめします。
ここまで、読んでいただきありがとうございました!
皆さんの合格を心よりお祈りしています。
また、当ブログでは、別資格の受験記も掲載してます。
興味のある資格記事がありましたら、ご一読いただけると幸いです!
コメント