本記事は、筆者が2023年3月に受けた『Oracle Database Administration Ⅰ』(通称:Oracle Silver DBA)の受験体験に基づく、解説記事です。
「これから受験を考えているけど、勉強方法のイメージがつかない・・・」「難易度や勉強期間が知りたい・・・」「そもそも、この資格意味あるの?」といった方へ、試験の難易度・特徴や試験対策の方法・勉強期間・受験時に意識したことなどを詳しく解説したいと思います。
そもそも「ORACLE MASTER」ってなに?
『Oracle Database Administration Ⅰ』とは、日本オラクル社が提供する『Oracle Database』というデータベースの管理スキルやSQLの知識を証明するための認定資格『ORACLE MASTER』の中の1試験です。
試験に合格すると、認定資格『ORACLE MASTER Silver DBA 2019』を得ることができます。
認定資格『ORACLE MASTER』には、難易度が3段階あり、「Bronze」「Silver」「Gold」の順で難易度があがります。
「Silver」以上の資格は、海外版の『Oracle Certification Program(OCP)』という資格と連携が取れるので、取得すると海外でも通用する資格ということになります。
以下に、オラクル社の公式HPで記載されている「ORACLE MASTER」の資格体系を記載しています。(赤字で記載しているのが、本記事で解説する資格です。)
認定資格名 | 前提条件 | 試験名 | 証明するスキル |
ORACLE MASTER Bronze DBA 2019 | なし | Bronze DBA Oracle Database Fundamentals | DB基礎知識 |
ORACLE MASTER Silver DBA 2019 | なし | Oracle Database Administration I | DB運用管理 SQL基礎知識 |
ORACLE MASTER Gold DBA 2019 | SliverDBA 2019 | Oracle Database Administration II | DB運用管理 |
ORACLE MASTER Silver SQL 2019 | なし | Oracle Database SQL | SQL知識全般 |
Oracle Database Administration Ⅰ試験概要
『Oracle Database AdministrationⅠ』は、Oracle Databaseの管理者として必要なスキルと知識を評価する試験です。
具体的には、Databaseのアーキテクチャ、インスタンスの作成と管理、バックアップやセキュリティ、SQLなどの知識が問われます。
『ORACLE MASTER』の中では「Silver」に位置する試験です。
多くの方は、まず「Bronze」の資格から取得しますが、資格の前提条件は特にないため「Silver」から受けることも可能です。(私は、Silverから受験しましたが問題なく合格できました。)
試験の基本的な内容は、以下の通りです。最新の情報は、公式HPから確認しましょう。
試験番号 | 1Z0-082 |
受験資格 | 特になし |
出題数 | 72問 |
試験時間 | 120分 |
合格基準 | 60% |
出題形式 | 多肢選択式(択一、または複数選択) |
受験料 | 34,300(税抜) |
試験スコアを公開
Databaseをまともに触ったことがない状態からの受験でしたが、無事一発合格でした。
試験の手ごたえは「まあ合格だろう」といった感じで、合格基準の60%は大幅に超えることができました。
試験後、カテゴリ別のスコアは教えてくれないようですが、間違えたカテゴリを教えてくれるため、万が一、落ちてしまっても、重点的に苦手分野に集中できるなと思いました。
試験の難易度・特徴について
試験の難易度は、5段階で3.5でした。(私が受けてきた試験と比較すると、応用情報処理技術者試験よりは簡単、kintoneアプリデザインスペシャリストよりは難しいくらい?)
以下に、試験で難しかったこと・その他試験の特徴をまとめました。
Databaseの仕組みは、実務なしでイメージし辛い
Databaseについての理解を問う試験ですので、Databaseの仕組みや運用方法についての知識を習得していく必要があります。(この手の知識は、手で触ってみないことにはイメージがわきません。)
私は、実務でDatabaseをあまり触っていなかったため、参考書を一読してもなかなか頭に入らずに苦労しました。
SQLに関する知識も問われますが、実際にDatabaseを構築したことも、運用したこともない人にとっては、なかなかイメージがし辛い点が壁かなと感じました。
逆に、仕事などでDatabaseを触っている方、実務経験がある方にはとても有利だと思いました。
試験要領がとても広い
後ほど紹介する、対策用のテキスト(通称:黒本)のページ数を見てもらうと共感いただけると思いますが、試験範囲がとても広いです。
体感では、基本情報処理技術者試験くらいの試験要領の広さです。
オラクルは、馴染みがないカテゴリの知識で理解に時間がかかる上に、試験としてカバーしないといけない知識の量が圧倒的に多かったのがとても苦労しました。(私は、対策テキストを1周読み終えるのに2か月かかりました笑)
試験時間は多め
試験時間は、120分でしたが、問題を1通り解いて、もう1周見直すのには十分な時間でした。
問題の量は、4択の短文形式の問題で計72問でした。
解いていて、集中力が途切れそうだったので、20問解くごとに少し休憩して試験を進めました。(時間に余裕があるのはプラス要素ですね。)
どのくらいの勉強時間を要したか?勉強は何をした?
合格までの勉強期間は、約6か月です。(過去一番勉強しました…笑)
仕事をしながらなので、平日1~1.5H、休日5~6Hの目安で勉強していました。
勉強期間をみると長く感じますが、年末から1月3週目にかけて、急激にダレてしまっていたり、2月は仕事が忙しく平日に勉強できなかったので、実質期間は4か月くらいです。(それでも多いか…)
私が実施した対策と所要期間は以下の通りです。
黒本1周目 | 9週間 |
黒本(章末問題+模擬問題)1周目 | 2週間 |
黒本2周目 | 4週間 |
黒本(章末問題+模擬問題)2周目 | 1週間 |
黒本3周目 | 2週間 |
黒本(章末問題+模擬問題)3~6周目 | 4週間 |
黒本(付箋つき)復習 | 2週間 |
見てのとおり、対策用のテキスト(通称:黒本)を完璧に理解するように対策しました。
詳しい勉強内容や、勉強方法で意識したことは後ほど説明します。
それぞれの対策項目のスケジュール感は、以下のとおりです。
勉強方法について解説!
前提として、『オラクルマスター教科書Silver DBA Oracle Database Administration Ⅰ』(通称:黒本)を完璧に理解できている状態を目指してください。
完璧に理解できていることの目安は、以下の通りです。
- 章末問題と模擬試験の正答率が100%になる。
- 章末問題と模擬試験は、なぜこの選択肢になるのか?まで説明できる。
- できれば、苦手カテゴリを把握し、徹底的に復習できている。
ゴールは、シンプルですが、この状態に持っていくまでが大変です。
対策の内容は、「黒本を読み進める」「章末問題・模擬試験を解く」「苦手範囲(付箋つき)の復習」の3区分にわけました。
追記(2023/5/27):上記に加え、「SQLの練習」を追加しております。
黒本を読み進める
黒本は、計23章あります。地道で面倒ですが、この内容を頭に叩き込むのが一番肝となります。
私は、Databaseに関する知識ゼロからだったので、念入りに計3周黒本を進めました。
1周目:じっくり読み、黒本の全体を把握する。
慣れない単語や、概念が出てくるため、なかなか前に進まないのですが、1周目はしっかりと理解することをメインにじっくり読むことをおすすめします。(ここでコケると、そのあとの練習問題や模擬試験の効率がかなり落ちます。)
読んでいてわからない概念は、ノートなどに図解して理解するようにしましょう。
また、インプットの量がかなり多いので、毎日 or 毎週 何ページまで進めるか?を明確にして勉強を進めることで、乗り越えましょう!(私はスプレッドシートで管理し、モチベーションを保ちました。)
2周目:章末問題と模擬試験の復習をかねて、さらっと読む。
2周目は、章末問題や模擬試験で実践を積んだ後に、改めて復習をしました。
章末問題や模擬試験で苦手だと感じた分野はじっくりと読み、既に理解できた分野はさらっとでいいので、もう一度読んで知識を定着させましょう。
基本的には、各章末にある問題で、その章の分野が網羅されていますが、一部、章末問題だけでは、カバーできていない知識もあります。
2周目を読んでいて、「これは章末問題にはないけど大切だ」と感じた箇所や、苦手で間違えた章末問題・模擬試験の箇所は、付箋を貼るなどして、見返せるようにしておきましょう。
私が黒本を読んでいて、大切だと思った箇所や章末問題でカバーできていないと感じた箇所は、別記事にまとめているので参考にしてみてください。
3周目:章末問題と模擬試験で間違った苦手分野のみ読む。
3週目は、苦手な分野に絞って復習を進めましょう。
章末問題や模擬試験に取り組む中で、何度も間違えてしまう分野を理解できるようにします。
3週目になってくると、基本知識はある状態なので、これまで学んできた知識を体系的に整理しながら読むことができると思います。
章末問題・模擬試験を解く
冒頭にも記載していますが、章末問題・模擬試験は、正答率が100%の状態になるまで、頑張りましょう。
4択なので、何度も解いていると答えを覚えてしまいますが、この選択肢を選ぶ理由は●●で、それ以外の選択肢は、●●が間違っている、といった具合に選択肢を選んだ理由を頭に浮かべながら進めましょう。
ちなみに私は、正答率100%になるまで6周かかりました。(笑)
正答率などは、スプレッドシートで管理し、苦手分野などをすぐに特定できるようにしていました。
苦手範囲(付箋つき)の復習
本記事『2周目:章末問題と模擬試験の復習をかねて、さらっと読む。』で作成したメモや、付箋を頼りに、苦手分野の総復習をしましょう。
試験当日の移動中や、章末問題・模擬試験を解いた後に復習する際などに、メモや付箋があるととても便利です。
練習問題を何度も解くと、高確率で何度も間違ってしまう分野がでてくるので、そういった箇所は、何度も目に入れる習慣をつけて克服しましょう。
そのために、付箋でマーキングしたり、復習ノートのような形式でメモにすることをおすすめします。私のメモは、以下のような形で残していました。
SQLの練習
こちらの対策は、私自身はやっていないのですが、有用なサイトを見つけたので紹介いたします。
このサイトは、環境構築不要・無料で、SQL文の演習ができるコンテンツとなります。
サンプルのテーブルが用意されており、想定の出力結果が出題されるので、実際にSQL文を書いて、想定通りの出力を出していく学習コンテンツです。
私は、当初oracleを立ててSQLを学ぼうとしたのですが、開発環境の構築がなかなかにハードルが高く、挫折してしまいました。
これから、受験を考えられている方は、ぜひ上記のサイトでSQLを触ってみてください。
資格取得のメリット
最後に、資格を取得して感じたメリットを紹介します。
DBスキルの証明になる
この資格取得を考えている方のほとんどは、現職でIT企業に勤めているか・IT業界への転職を考えている方だと思います。この資格はオラクル社認定の資格かつ、国外でも導入されている認定資格なのでDBのスキルを習得したことを客観的に証明できる材料になります。
エンジニアとしての実務に活かせる
私は、実務でシステムの設計~保守までを担当していますが、DBの理解はあったほうがいいと思います。世の中のシステムは、すべて何かしらのDB的な仕組みで動いています。
システムを保守するとなった場合に、DBのリカバリ方法や、停止手順などの理解が必要です。
システムを設計するとなった際に、DB冗長化構成の検討や、セキュリティ構成についてなどを考慮する必要があります。
システムを開発・テストする際は、SQL文の理解は必須でしょう。
このような実務で活きる知識を体系的に学ぶ手段として、この資格試験は有用だと思いました。
よくある質問
「Oracle Silver DBA」についての解説記事や動画がなかなか少ないので、とても苦労しました。
受験記に関して質問がある方は、問い合わせより気軽にお問合せください!
個人的見解ですが、ある程度、ITに関しての知識(基本情報処理技術者レベル)がある状態であれば、Silverからでも問題ないと思います。もし、上記の知識を持ち合わせていない場合は、Bronzeから勉強を始めることをおすすめします。
選択問題のCBT方式なので、選択ずれがないか?や複数選択のチェックボックスが、選択されているか?を徹底しました。
模擬試験などを解いた結果、苦手だった前者に力をいれました。試験を受けた印象では、5:5くらいで出題されていたので、どちらかに全振りはおすすめできません。
可能性はゼロではないですが、かなり無謀だと思うので、この記事の対策を1か月は継続してみてください。(笑)
ここまで、読んでいただきありがとうございました!
皆さんの合格を心よりお祈りしています。
また、当ブログでは、別資格の受験記も掲載してます。
興味のある資格記事がありましたら、ご一読いただけると幸いです!
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